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小林よしのり
2016.10.21 03:18メディア

皇后さまの「承詔必謹」を見習うべし


皇后陛下の82歳の誕生日のお言葉を、産経新聞と東京新聞

が全文載せていた。

産経新聞は皇室のニュースを割と大きく報じて、いかにも

尊皇心があるようなふりをする。

ところが「承詔必謹」は全くない!

それどころか天皇陛下に平然と異議を唱える論客(逆賊)

ばかりを紙面に登場させる。

 

要するに自分たちの希望する「天皇像」に、今上陛下は

合致しないのである。

Y染色体・男系血脈としての天皇」を彼らは尊崇していて、

個人としての天皇には興味がない。

彼らの主張はこうだ。

「天皇は祭祀だけをしていればよい、公務は余計だ、

御簾の奥に隠れてカリスマ性を保て、閉ざされた皇室が

望ましい」

天皇陛下が公務をなさり、国民に直接「お言葉」を伝えると、

彼らは不愉快になるのだ。

彼らは「承詔必謹なきエセ尊皇家」である。

 

驚くべきことに東京新聞はサヨク新聞のようだが、「庶民感覚

としての尊皇心」があって、社説でも女性・女系天皇を認めて

いる。

昨日も「皇后さま回答全文」を載せて、見出しに使ったのが、

「視覚障害者転落 増えぬよう」「陛下の御表明 謹んで

承った」という箇所である。

これはわしが注目した2点でもあって、社会的弱者への配慮と

「承詔必謹」の心構えである。

 

皇后陛下でも、天皇陛下には「承詔必謹」を心がける。

「私は以前より、皇室の重大な決断が行われる場合、これに

関わられるのは皇位の継承に連なる方々であり、その配偶者

や親族であってはならないとの思いをずっと持ち続けており

ましたので、皇太子や秋篠宮ともよく御相談の上でなされた

この度の陛下の御表明も、謹んでこれを承りました。」

この箇所は、88日の玉音放送を受けての、態度表明と

して非常に重大な言葉である。

皇后陛下でも「承詔必謹」なのだから、国民も、国民の

代表者たる国会議員も、本来は「承詔必謹」で臨まなければ

ならない。

それを悟らせるために皇后陛下は「謹んで承った」と仰った

のだろう。

 

これが産経新聞の愛読者である「男系血脈派」に届くのか?

自民党の国会議員に届くのか?

竹田恒泰を奉じる日本会議系の国会議員に届くのか?

安倍政権に届くのか?

有識者会議に届くのか?

答えは風に舞っている。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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